慢性筋肉疲労に関する考察

[触手療法研究会]福増一切照先生が考案して開発した触手療法について考えるブログです

24 鼻の横のところを緩める

「23 眼の周りの筋肉疲労について」の内容と重複しますが

もう少し詳しく書きます。

 

鼻の横のところが硬いと

なぜか眼も耳も鼻も悪くなると、福増先生から聞いています。

 

このあたりに、筋肉の疲労した硬さをみつけたら

その硬さは、緩めてとります。

 

筋肉の走行に沿って触っていき

筋肉が緩んでいく反応を妨げないように

鼻の横のところは特に注意して、痛かったりしないように優しく触ります。

その場所は、下の「図24 鼻の横のあたりを緩める」に示しました。

 

図24 鼻の横のあたりを緩める

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慢性筋肉疲労に関する考察 参考として図24

先生は頬のところを緩めるときに

いつの頃からか、鼻の横のところも一緒に緩めるようにされていました。

 

福増先生は操法しながら

「経絡は本当に顔の中心に集まってくるねぇ」と

何度か、つぶやいておられました。

これは興味深い発言だと思いました。

23 眼の周りの筋肉疲労について

筋肉を緩めることで、眼の疲れが改善される部位があります。

それは鼻の横のところで

顔の筋肉でいうと、上唇挙筋などがあるところです。

このあたりが硬いことについて

「鼻の横のところが硬くなると、なぜか眼が悪くなったりするねえ…

鼻と耳も悪くなるんねえ」と、福増先生から聞いています。

「こんなところに何があって、何が影響するのかねえ…」

というように言われていました。

 

この部位が硬いのを、軟らかくすると、

眼の不調(一言に不調といっても色々あると思いますので、

雑な言い方ですが…)が改善されるものもあるようです。

また、この鼻の横のところを先に緩めることで、

顎関節周辺の筋肉が緩みやすくなってきます。

 

図23-1鼻の横のあたりの筋肉

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慢性筋肉疲労に関する考察 参考として図23-1

福増先生は、何々筋が原因と言われたわけではありません。

ですので、この部分にある筋が関わると思って、

そのあたりにある筋肉を挙げました。

 

眼の疲れが改善される部位は

ほかにもありますから

鼻の横のところもその一つと思って

読んでくださったら良いと思います。

22 耳介筋を緩める

顎関節周囲の筋肉の硬直を取ると、

顎関節が楽に動くようになったりします。

 

緩める筋肉は、咀嚼筋といわれる筋肉です。

顎関節の動きが悪い人の場合は、

これらの筋肉が硬直してしまっていることが多いです。

 

咀嚼筋はいくつかありますが、ここでは耳介筋を見ます。

 

頭部の操法で、福増先生はこの筋肉について、

「耳介筋を緩めることを大事にしている」とのことでしたから、

とくに注目したいと思っています。

 

[図18耳介筋を緩める]

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慢性筋肉疲労に関する考察 参考として図18

 

耳介筋は、前耳介筋、上耳介筋、後耳介筋があります。

その三つの筋肉を緩めていきます。

 

耳介筋は耳を中心とした位置にあります。

耳介筋は、耳のあたりの付着部からそれぞれ、前方、上方、後方へ伸びています。

 

筋肉の付着部から緩めると、よく緩んでいきます。

 

耳介筋の耳のところの付着部は、

図の耳介に、点々で印をつけた部分です。

 その箇所を触って圧を加えて、それぞれの耳介筋を緩めます。

 

触って緩めるときの圧力は

押さえるというほどの、大きな圧はいりません。

緩めているときは、痛みなど起こりません。

意外に気持ちが良いと思うか、または、何も感じないくらいです。

私が操法を受けたときは、「何してるんだろう?」というのが、

当時、私個人の感想でした。

 

 

参考図として入れた[図18耳介筋を緩める]の

前耳介筋①や、上耳介筋②の耳のところの付着部は、

耳の穴のすぐの近いところにあります。

後耳介筋③は、耳介の後ろ側に見えますので

そこのところを触って緩めていきます。

 

 

後耳介筋について福増先生は、

「後耳介筋は、耳の後ろの付け根のところにあるので、

耳の後ろから触るよりも、中から触った方が便利なぐらい」

と、言われていましたので、

耳介の中から触って緩める方法も良いと思います。

 

後耳介筋は、耳介を前方にやると、

耳の後ろにピッと見えるスジがそれです。

 

後耳介筋を緩めるときは、

耳介を前へ起こすようにすると、

耳の後ろの付け根のところに、後耳介筋がスジになって見えますから

それを、まえ方向に押しやるようにして、

少しの圧をかけてやると、緩んできます。

 

後耳介筋は、耳の後ろの、すぐのところは見えますが、

福増先生から聞いたところでは、後耳介筋の筋線維は、

ほとんど頭の後ろの方まで伸びているそうです。

耳の後ろのところから緩め始めて、

続けて頭の後ろの方までを緩めていきます。

 

21 親指の付け根のところを緩める -3

母指が手のひらの方へ引き付けられることについて

施術をしていく際には、指の筋肉は、長いものは肘関節や

肘関節の近くまであります。

親指の筋肉疲労が深くなっていると、手部、肘、肩くらいまで

影響を深く受けるので、そのあたりまでを

一連と捉えて見ていくとよいと思います。

 

「20 親指の付け根のところを緩める-2」の

第1指が手のひらへ引き付けられていることを表しました。

suzume1000.hatenablog.jp

 

母指内転筋は、第3指中手骨から親指のMP関節のところに着いて、

その間に張る筋肉ですから、母指内転筋が短縮すると

親指と人差し指の間を開いてみようとしても、あまり開かないです。

 

そうなると、例えば、親指と人差し指の先を合わせて丸が作れていたのに

それがへしゃげた様な形になってしまうとか、

今まで出来ていた細かで器用な手指の動きが上手くできず、

手指の動かしがたさを感じたりすると思います。

 

福増先生が、「親指の付け根」の辺りを緩めようとするときに

特に緩めるべきとして取り上げた箇所は、

下図①の個所の筋肉(母指内転筋のあるところ)と、②の個所です。

①,②の場所に見られる疲労した感じをとっていくために

この二か所を緩めていきます。

 

        [図21 第1指の筋肉の縮み]

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慢性筋肉疲労に関する考察 参考として図21

上[図21 第1指のあたりの筋肉の縮み]の、①,②のあたりにある筋肉は

解剖学の本を見るなどして、その場所を示してみますと、

①の部分は、母指内転筋が第3中手骨から第1指のMP関節のところに着いています。

②の部分は、第2中手骨の基部の背側面で、長橈側手根伸筋が着くところです。

また、第1骨間背側筋も付いています。

(第3中手骨基部の背側面には、短橈側手根伸筋が着きます)

 

この①,②の二か所には、関節部分を含んで、

筋肉の付着部のほかに靱帯もありますから、

それらを一緒に緩めていきます。

靱帯は特に力をかけなくても、

筋肉が緩んでいくと次いで緩んでいきますから

何か特別のことをしなくても、

筋肉が軟らかくなってくるときに、緩んで伸びてきます。

 

第1指にしても第2指にしても、複数の筋肉が付着して、

どの筋肉がどう関連し影響しあって緩んでくるか? までは分かりません。

けれども、そのあたりが緩むと、

それらの筋肉を個別に緩めているわけではありませんが、

それらの筋肉は一緒に緩んできて、

筋の緊張度がゆるくなってくることを感じ取ることが出来ると思います。

20 親指の付け根のところを緩める -2

 suzume1000.hatenablog.jp

 

 「19 親指の付け根のところを緩める」で、母指内転筋が縮んでいることを書きました。

「20 親指の付け根のところを緩める-2」では、患者さんの疲れている手部のどこを見るか?です。

また、疲れて短縮している筋肉を緩ませるためには、どうするか?は、別の頁で扱います。

 

疲労した手部は、どんな風なのか?という見方が必要になってくると思いますので、

慢性に筋肉疲労をした手部の形の特徴を見ます。

 

 

慢性に筋肉疲労をした手の形の特徴

親指と人差し指に筋肉疲労があった場合、

しばしば、その疲労は上の方へ行きます。   

肩を通り上へ行って、顎関節周囲の筋肉の疲労が深くなってしまうと、

頭部の筋肉や咀嚼筋などが硬直してしまったりもするので、

肩から頭の方にかけてのコリを訴えられると、

手部の疲労がないかを見ます。

このときに、特に親指と人差し指を見ます。

 

この部分が手早く緩むようになれば効率がよいと思うのですが、難しく、

多く見かける手部の疲労した手の形を、図で説明します。

 

 

患者さんの手部の疲労を取りたいときには、

福増先生が「手は親指の付け根のところを緩めるとよく緩む」と言われたので、

そこのところをしたいのですが、

福増先生が言われる「親指の付け根」はどこなのか?というのは、

ざっくりと捉えていましたので、はっきりしません。

親指に母指内転筋が付くところを緩めると、

肩のあたりまでが緩んだこともあったので、ここかな?

と、今は想像しています。

そう思って、その部分から緩めようとしてもなかなか緩みません。

実際に施術していくときは、その部分を含む親指の中手骨のあたりを

ぜんぶ緩めることになります。

 

 

疲れている手部を見ます。

まず、第1指と第2指で多く見られる、筋肉が疲労した手の形を見てみます。

第1指を手のひらへ引き付けています。

第2指はMP関節で屈曲した形になって、

指全体が伸びにくいと見えます。

第1指と第2指の筋肉疲労が深いと、親指と人差し指の二本で、

丸を作ろうとやってみても、うまく作れないようです。

 

[図19-1疲労した手の形]で示したのは、

①は、正常な形として描いてあります。

②は、第1指が手のひらの方へ引き付けられています。

③の図は、手関節を尺屈させて、また、手関節を屈曲もさせて示しています。

 

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慢性筋肉疲労に関する考察 参考として図19-1

上の[図19-1]と、下の[図19-2]は同じ内容を示した図です。

分かりにくいかと思い、別の角度から見たものです。

表現の違いがあるように見えますが、同じ内容を説明しようとした図です。

 

[図19-2疲労した手の形]

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慢性筋肉疲労に関する考察 参考として図19-2

 

[図19-2疲労した手の形]では、[図19-1疲労した手の形]と同じところを見ますが、

もう一度、説明を繰り返します

 

①は、正常な形として示してあります。

②は、手関節を尺屈させています。

③は、第1指が手のひらの方へ引き付けられています。

また、手関節を屈曲させて示しています。

④は、第2指を伸ばしたようにして、第1指に近づいた形を表しています。

 

 

疲労が深い手部を見ると、こんなような形になっていることが多いと思います。

 

19 親指の付け根のところを緩める

「親指の付け根のところを緩める」について

母指内転筋がつくところを緩めると、

手部全体が凄く緩んでくるようです。

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慢性筋肉疲労に関する考察 参考として図17

ここで説明したいのは、

図で見れば、この箇所は母指にある種子骨の、

示指(第2指)側の種子骨を含んでいるあたりです。

種子骨のところから、

関節に付着した母指内転筋が、

中指に向かって広がっていくところで、

母指の関節(MP関節)にごく近いところです。

 

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慢性筋肉疲労に関する考察 参考として図17-3,4

この筋を緩めるつもりで、

この中手指節関節(母指のMP関節)のところに、

上図17-3,4では、左手母指の外側のがわから骨に沿うように

指を軟らかく当てるようにして、

押すような力を含まない触り方で、コリを触って緩めます。

このとき、示指と中指をつかって緩めようとしていますので、

緩めようとする個所の、後ろ側、裏側にあたるところに

右手の母指を当てて、施術します。

 

母指内転筋が緩んでくると、

母指と示指のあいだが伸びて、距離が出てきます。

 

その母指の中手指節関節(MP関節)のところを、まず緩めると、

手が凄く緩んできます。

それに、この部分が緩むと、肩のあたりまで緩んでくることもあります。

 

母指に母指内転筋が着くところを緩めようとするには、

その部分を含む親指の中手骨のあたりをまず、ぜんぶ緩めていきます。

そのあとで、親指に母指内転筋が着くところを緩めていくと、

母指内転筋が緩んできやすくなっています。

すると、手部全体が凄く緩んでくるという風になってきます。

そんなふうな、筋肉が緩んできやすい順番があるように思います。

  

18 脇腹のあたりが硬いことについて

 「脇腹のあたりが硬い」ことについて

そのあたりの硬さを取ろうとしたら、

どうすれば取れるかを考えてみたいと思います。

 

私の考えですが、

一つの見方として外腹斜筋の付着する部分から

見たいと思います。

 

「脇腹」というのは、腹の側面の筋肉のことだと思いますが、

腰部や腹部を見るときに、筋肉から見れば

腰部も腹部も、筋肉は長さがあって連続していますから、

部位によって、はっきり分けて考えることはできません。

そう思って読んでください。

 

それから、筋肉が引っ張り合う力というのは、

三箇所で引っ張り合っています。

一点で引っ張り合うことはできません。

二点で引っ張り合うというのも、成立しないですから

必ず三点で引っ張り合っています。

からだの部位を、大きく見ても、小さい範囲で見ても

三箇所で引っ張り合っています。

この考え方をいつも頭に置いておきます。

 

[外腹斜筋]がつくところを挙げます。

肋骨への付着部は沢山あって、

上の方に付くところは

・第5,6,7,8,9,10,11,12の肋骨外側面から起こる

・上方5尖(第5,6,7,8,9)肋骨付着部は、前鋸筋の起始と交差している

・第10,11,12肋骨の付着部は、広背筋の起始と交差する

のです。

その他に付着するところは、

腸骨稜の外唇のところに付きます。

下のほうに着くところは、

大部分は腱膜となって、鼠径靱帯や恥骨稜に着いて、

腹直筋鞘に入って、おなかの正中にある白線に着きます。

 

文章では分かりにくいので、図で見ます。

外腹斜筋と、その周辺の筋肉を

外腹斜筋を中心にして見ています。

 

脇腹のあたりが硬いというのは、

わき腹あたりに引き合う力がかかっているから

硬さがあると考えています。

どの筋肉が引っ張り合っているのかを見ます。

図14・図15・図16 

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触手療法の参考として図14,15,16

 

図14は、外側がら背側を見て、前鋸筋と広背筋、それに、下後鋸筋を示しました。

前鋸筋と広背筋は、前方で外腹斜筋と接しています。

図15は、おなかの側で、前鋸筋と外腹斜筋の接するところと、

白線を示しました。

図16は、人の視線は水平線をいつも見て、立っています。

たとえ腰が強く曲がっていて、スッと立っている人と比べて前が見辛いようでも、

人の目は水平線を見ます。

強く腰が曲がっていて、前が見辛いから、水平を保とうとしないことはないです。

 

脇腹のあたりが硬いというのは、

脇腹のところあたりに強く引っ張り合う力があるので、

その引っ張り合う力が緩んでくるように、

筋肉の緊張を取れば良いと考えます。

 

これらの筋肉が短縮しているのですから、

その引き合う力を緩めるには、

上に挙げた筋肉(前鋸筋・外腹斜筋などの腹筋側や、広背筋、

そして、図にはありませんが、

脊柱起立筋などのせなかの側にある筋肉、

肩甲骨の動きを止めている筋肉など)を緩めます。

 

内・外・横腹斜筋が縮むと、おなかが縮むことになります。

縮む方向は、筋肉は筋線維の走る方向に沿って縮むのですから、

筋線維の走る方向を見て、それが緩んでくるように触れます。

 

腹斜筋は、白線のある正中方向に縮みます。

また、おなかの筋肉は、恥骨のところに

強い力がかかる形で縮みます。

恥骨のところにかかる筋肉の力は大変に強いものと聞いています。

 

17 大腿部内側の筋肉が慢性筋肉疲労で短縮している場合

前回の『凝りのために膝痛を訴える場合-3-』は、大腿二頭筋が疲労して短縮することを見ました。

今回は、半腱様筋と半膜様筋について見ます。

この二つの筋肉は、大腿二頭筋とほぼ同じところの、坐骨に付いています。

大腿二頭筋を含めて三つの筋肉を見ると、三つとも坐骨結節から起こります。

 

図12半腱様筋と半膜様筋

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 半腱様筋(坐骨結節に付く。半膜様筋に重なるように付いて、浅部にあります)は、

大腿二頭筋長頭と共同の腱として坐骨結節から起こり、脛骨内側面に付きます。

 

半膜様筋(坐骨結節に付く。半腱様筋に重なるように付いて、深部にあります)は、

半膜様筋の深部にあって、坐骨結節から起こり、

脛骨の膝関節近くの、近位後側に着きます。

この筋肉は、坐骨結節から起こって、強力で幅が広くて扁平な形をしています。

 

大腿二頭筋(頭長は坐骨結節に付いて、半腱様筋と共同腱で起こります。短頭は大腿骨の遠位から起こって、長頭と癒合します)は、

坐骨結節と大腿骨の遠位のところから起こって、腓骨頭に着きます。

 

ハムストリングスの三つの筋肉(上記の三筋の、半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋)を見ます。

これらの筋肉が、疲労して短縮したときの想像図が、下図13です。

図13半腱様筋と半膜様筋と大腿二頭筋

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 これら三つの筋肉は、坐骨結節と大腿骨に付き、腓骨頭に着きます。

また半腱様筋と半膜様筋は、膝関節に近いところで、脛骨の後ろ側の内側に着きます。

 

これらの筋肉が骨などに付着する部分は、

それぞれが他の腱や筋肉の付着部分にもなっていることが多いです。

筋肉は、骨を介して働くのですから、筋肉や腱の付着部分は、

その部分から、また別の筋肉や腱が直につながっている箇所と考えて、

筋肉疲労しやすいと思う箇所を診ていきます。

 

 

 

 

16 凝りのために膝痛を訴える場合

膝のあたりの痛みについて

一言で「膝が痛い」といっても、膝の痛みは色々なところに出ます。

痛みのでる箇所は、膝の内側、外側、膝のすぐ下、全体という人もいれば、分からないという人もいます。

ここでいう膝の痛みは、膝に関するあたりに筋肉疲労があって、それが慢性的になったものと想定して話を進めます。

 

(想定)膝関節の外側のあたりに痛みがでたとします。

ここでは、膝関節に痛みが出たのは、膝関節に原因があるのではなく、別の箇所に原因があって、膝関節の外側のあたりに痛みがあるとします。

ここでいう原因かと思う事柄を見付けるために、膝のあたりより下(遠位)に絞ります。

足部や、足部に近いところに原因となる事柄が多いと聞きますので、膝に痛みが出ることについて、膝より下を見てみるのです。

例えば、

  • 昔に、足首を捻挫したことがあるとか。
  • 昔に、足趾を突き指したことがあるとか。
  • 下肢を酷使したことがあるかなど。(長期間の労働などで)
  • 上に書いた以外で、膝より下のどこかを痛めたことがないか、患者さんに聞いたり、探したりします。
  • その他(膝関節以外の箇所の原因を考えるように書きましたが、膝関節のところ自体に、原因がある場合もあります。例えば、随分と以前のことでも、膝関節のあたりを、強く打ちつけたことがあったり、傷を負ったりなどしても、その部分に筋肉の引き攣れとなって残って、膝関節のあたりの不調になっている場合がある聞きます。この場合は、その引き攣れたようになっているところを、なでるように触っていくと、リラックスしてきて緩んでいくこともあるようです。古くても、傷跡の付近というのは、傷はもうずうっと以前に治っているというのに、触るとなにか過敏な感じを訴えることが多いそうです。こういった箇所が原因になっている場合は、そこを触る必要があると考えます。でも、工夫をしないと、触らせてもらえないかもしれません。)

このような、誰にでもあるようなことが、原因していることがあると聞きました。

痛みが出ている箇所に、痛みの原因があるとは限らないことを説明したいのです。

 

ここで話がつながるように、ちょっと、都合の良い想定をしていきます。

それは、痛みが出る場所で、よく見られる例についてでもあります。

 

痛みが出ている箇所の想定は、外側の、膝関節のすぐ下の、腓骨頭のところに痛みがあるとします。

足関節の外側部分を捻挫したことがあると、その後に、腓骨頭のところに痛みが出ることが割合に多く見られるようです。

ここでは、痛みのでることの多い腓骨頭に大腿二頭筋が着くので、大腿二頭筋を見てみます。

 

図11大腿二頭筋について

大腿二頭筋が疲労して縮むことについての図を示しています。

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O脚の人の下肢を見ると、大腿二頭筋が短縮していることが見られると思います。

(書き方がややこしいかもしれませんが、O脚の人は、大腿二頭筋が短縮していることが見られると書きましたが、大腿二頭筋が短縮するからO脚になるとは言っていません。)

図11-2で示した内反膝(O脚)は、下肢が膝のところで外方に凸となり、内方に凹面の弯曲になるものです。

側方に凸になるということは、下肢は膝を挟んで内側が縮んでいるということです。

 

腓骨頭のところに痛みが出ることについて、昔に足首の捻挫をしていると、下肢の外側を股関節のところまでコリが上がっていって、腓骨頭のところに痛みが出ることが多いと、福増先生から聞いています。

そして、膝のあたりに痛みが出るときに、腓骨頭のところにも痛みが出ることが多く、この痛みも取れるように、筋肉疲労を取っていくようにしていきます。

 

15 足母趾の、硬直したようになっている筋肉を緩める

足の第1趾(足母趾)が硬直したように硬くなっている場合について

第1趾をみて、柔軟性が乏しく、硬い感じでピーンとしたように見えるコリがあります。

第1趾に力がかけられない、また、力が入りにくいとなると、色いろと身体の不調も起こってくることがあると思います。

第1趾に硬さがあったら、その硬さを取ることを考えます。

 

この硬さを取るには、足底の第1趾につく筋肉で、前脛骨筋がつく箇所を緩めると良いと思います。

前脛骨筋を含む筋肉が、足底の骨につく箇所の図を、過去の投稿記事(8月17日投稿分―足底の筋肉を緩める・図4)に示してあります。

ここで見たいのは、前脛骨筋がつく第1趾の中足骨と内側楔状骨の足底のところです。

 

図10-1,2、前脛骨筋、長腓骨筋

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図10を見ると、前脛骨筋は、第1趾の中足骨と内側楔状骨につきます。

第1趾の中足骨と内側楔状骨には、長腓骨筋もつきます。

前脛骨筋長腓骨筋は、どちらも下腿の膝関節の近くから始まって、足部の同じ骨につきます。

  • 前脛骨筋は、膝関節の近くで脛骨の外側から起こり、脛骨を足首に向かって下り、足首のあたりで内側に行って、第1中足骨と内側楔状骨の足底側に着きます。
  • 長腓骨筋は、膝関節の近くで腓骨の外側から起こり、腓骨に沿って足首に向かって下り、外果の後ろを回って第5中足骨の後ろから足底を通って、第1中足骨と内側楔状骨の足底に着きます。

足の方から緩んでいかない場合は、脛骨と腓骨の膝関節に近いあたりを緩ませてみます。

その箇所は、下腿部を前から見て、ちょうど足三里のあたりを囲むような場所です。

この足三里を囲むあたりから、もう少し足の方へ下がったあたりまでを緩めていきます。

触り方は、脛骨の場合なら、脛骨の外側のところを、骨に向かって押していく感じで触ります。

腓骨につく筋肉についても、骨に向かって押さえるような感じで触ります。

このとき、大きな力は要りません。

筋や骨膜が緩むときは、触れている手指の下で、すう、と消えるような感じで緩みます。

足三里を囲むあたりが軟らかくなってくると、足部の第1趾のところは、硬さが取れて少し軟らかい感じがするのではないかと思います。

そして、足部の第1中足骨と内側楔状骨に、前脛骨筋の腱と長腓骨筋の腱がつくところをみます。

第1趾の骨は、ほかの足趾の骨より大きくて太いですが、それでも、本来の骨の大きさより、大きく感じることは多いです。

それは、骨のまわりの筋や腱、骨膜などに慢性の筋肉(系)疲労があって、それが手に触れたときに、本来の大きさより大きく感じるから、と思うのです。

まだ筋肉に硬直したような硬さがあるなら、そこにまだ筋肉疲労があって、筋肉の硬さがあるのですから、それを手で触って探して、緩めて取っていくようにします。

 

 

 

 

14 脛骨の内側面と前縁のところを緩める

下腿部の筋肉疲労について

過労現象がある筋肉の硬さを取るときに、ふくらはぎの筋肉を圧迫しても、筋肉が弛緩してくるように誘導することは難しいように思います。

触手療法で行う技術に、『脛骨の骨膜を刺激するとふくらはぎが緩む』という内容があります。

これは、福増先生が触手療法を行うなか、経験から得たことで、理由はさておき、「脛骨の骨膜のところを刺激してから、ふくらはぎを見ると、なぜか、もう、ふくらはぎの筋肉は緩んでいるのです」と言われていました。

ふくらはぎが緩んでくる場所は、脛骨の内側面と前縁のところです。

 

図8、脛骨の内側面と前縁

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図8では、脛骨の内側面と前縁を見ます。

脛骨の内側面(平らなところ)と、前縁(稜線になっているところ)を緩めていくと、ふくらはぎの筋肉が緩んでくるのです。

ふくらはぎの筋肉の筋膜は、前方では骨膜に連なって、骨を取り巻いています。

 

図9は、下腿の筋膜と骨膜のことが書いてあります。 

脛骨の骨膜は、下腿の筋肉を包む筋膜に連なることが、筋膜をたどっていくと分かります。

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ふくらはぎの筋肉は、脛骨の内側面のところと、前縁のところを緩めると緩んできます。

この部位を緩めるときは、ほかの部位の筋肉を緩めるときと同じように、軟らかい触れ方をします。

この部位は、触れると痛いことが多いです。

痛みがあるかどうかを尋ねてみて、痛いようなら、痛みのでないような触り方に変えることは必要と考えます。

 

13 足母趾に力がかけられない状況

第1趾(足母趾)に力がかけられないような状況があることについて、考えていきます。

人が立っているとき、足部のどこに体重がかかるのでしょうか?

足部の内側のところに、体重がかかるのが正常だと聞いています。

それは、第1趾のところ(中足骨のあたりから先の範囲)で、なお、重心は内側にくるのが正常なようです。

これが、体重がかかるところが、足部の外側にきているようだと、体重をうまく支えられなくなり、問題があるようです。

図6-1、2、3、足部

 図6-1:起立姿勢で、第1趾に体重がかかって、なお、内側へ体重がかかるのが正常と聞いています。

 図6-2:足部に一番体重がかかるのは、第1趾のところです。

 図6-3:踵にみられるコリの場所です。

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足部の内側に体重がかけられない理由があるようです。

それは、第1趾のところが疲れてしまっていることと、同時に、足部の外側で、外果の後のあたりの異常(コリ)と関係があるとも聞いています。

このときの、足部にみられるコリは、

 図7-1:第1趾の疲れと、踵の部分に起こるコリの場所です。

 図7-2:足の甲にみられる腱の張りで、長母趾伸筋と長趾伸筋が足の甲のところを通る場所を示したものです。

 図7-3:図7-2と同じ内容です。

図7-1、2、3、足の甲と伸筋

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 図7-1の第1趾の疲れは、足趾の第1趾に筋肉疲労があり、第1趾に力がかけられない状態になってしまい、その疲労から回復できないでいることです。

また、外果(外くるぶし)の周囲の異常は、第1趾に力がかけられないと、踵の外側のあたりでバランスを取ることになるからだと聞いています。

 図7-2の足部の背側の緊張とは、足部の背側にある筋肉で、長母趾伸筋と、長趾伸筋が緊張し短縮した状態になっていることを指します。

 図7-3は、長母趾伸筋と長趾伸筋の、足関節にかかるあたりを示したものです。

図7-1、2、3、については、それぞれについて筋肉を緩めて、血行を良くし、弛緩させることで疲労からの回復を促します。

これらは、関連があり、一連の筋肉疲労としてとらえるとよいと思います。

一連というのは、人間の身体に起こる筋肉疲労は、一箇所だけが筋肉疲労していくのではないからです。

筋肉には長さがあり、関節を飛び越えて骨に付着します。

飛び越える関節は、一つのこともありますが、いくつも飛び越えて骨に付着する場合もあります。

骨から骨に付着するところだけを見ても、一つの筋肉が縮んだら、その筋肉が付着する箇所が複数になるわけです。

また、人間の身体は平面ではありませんから、かかる力は立体的に及ぶことになります。

疲労した部位と、それと張り合う力関係にある部位との、力の張り合いのバランスは、少なくとも、必ず三点で張り合って釣り合いを保っているという規則性を持っている、と考えるそうです。

そう考えると、どこかにコリがあるとして、コリの痛みが出ている箇所は一箇所だとしても、そのコリの引っ張り合う力は、三箇所で釣り合っているということになると思います。

小さな範囲でも、大きな範囲で考えても、それぞれが三箇所でバランスを保つと考えることになります。

大きな範囲の三箇所の中の一箇所も、小さな三箇所の引っ張りで構成すると思います。

そうやって考えますと、この足部の場合なら、第1趾のところと、踵の外側のところと、あと一箇所が分かりません。保留します。

保留しますが、内側のどこか・・・または、重心が床面に落ちるところはどこかを見て、下肢のどこに力がかかってそのバランスを保っているか、になると思います。

図7-2、3で示した足の甲にみられる張りは、足部を屈伸するように動かしながら、脛骨のまえがわのあたりを緩めます。

それは、足首の一番細いところで、長母趾伸筋と長趾伸筋が、筋から腱に移行するあたりを、ゆるく触れながら刺激していくと、僅かずつポツッ、ポツッ、という様に緩んでいくと思います。

その作業を繰り返して、そのあたりの筋肉を弛緩させていきます。

 

 

 

 

 

12 足の母趾と人差し指のあいだの疲れ

 

足にコリがあると、何か歩きにくいような不調を感じることもあるかと思います。

ここでは第1趾(親指)と第2趾(人差し指)のあいだのところの筋肉の疲れを取り上げます。

第1趾と第2趾のあいだで、第1趾の中足骨と第2趾の中足骨のあいだのところです。

この部位は、足底から、甲の側から、という捉え方ではなく、この二本の指(第1趾の中足骨と第2趾の中足骨)のあいだを埋める筋肉が疲れているので、そこを緩めようというものです。

例として、先生が挙げたのは、五十代ぐらいからの女性に多く見られる足部の筋肉疲労についての内容です。

第1趾の中足骨と第2趾の中足骨のあいだにある筋肉に触ってみて、グリグリとした硬さがあって、疲れがある筋肉について考えます。

図5は、第1趾と第2趾のあいだのコリの場所を示しました。

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図5で示した第1趾と第2趾のあいだのところにあるコリは、第1趾と第2趾のあいだを埋めている筋肉です。

このあたりを緩めます。

筋肉の名前を挙げていくと、第1趾の側なら、短母趾屈筋、母趾内転筋とか。

第2趾なら虫様筋、背側骨間筋とか、あります。

しかし、これらの筋肉を見分けて、この筋肉を緩めるのだ、といったところで、この部位で、こんな細い筋肉をいちいち見分けるとか、そんなことはできないですし、してないです。

施術者は、第1趾と第2趾にわたるように広く手指を当てて、第1趾の側と第2趾の側の筋肉の硬さを取っていきます。

つまり、使える指、掌を使いやすいように、緩みやすく、やりやすいように使うのです。

この場合は、足底の側からと、甲の側からを、緩める作業をします。

第1趾と第2趾のあいだのところを、足の甲の側と足底の側の両方から、指を当てます。

緩める場所は、「指と指のあいだ」という言い方をしてしまうと、ここでは当てはまりません。

第1趾につく筋肉、第2趾につく筋肉に、疲労した筋肉を見付けて緩めることを行います。

第1趾の中足指節関節(足の指が分かれているところの関節)のあたりから中足骨のところにある第1趾の側のグリグリとした筋肉と、第2趾の側の中足骨のところにあるグリグリした疲れた筋肉を緩めていきます。

この「第1趾と第2趾のあいだ」の箇所が慢性筋肉疲労になってしまうことについて、福増先生はこう言われていました。

「尾骶骨(のところ)が縮んで、恥骨(のところの慢性筋肉疲労があって、その周囲の筋肉)が縮んでいるような状態のときには、母趾(第1趾)と人差し指(第2趾)のところのあいだに力が掛かるような、何かが起こっているみたいです。

だから歩くことがなくても精神的な緊張だけでも、ここが疲労するのかな、と思うような人が多いんです。

で、それは、外反母趾になる原因になる。」

と言われていました。

この意味は、これから考えていきます。

 

 

11 足底の筋肉を緩める

土踏まずのところで、骨の足底につく筋肉を診たいと思います。

足の甲が高くて普通の靴が合わない人は、土踏まずのところが縮んでいることがあるそうです。

図3で示した土踏まずの斜線のところが縮んでいるというものです。

実際に土踏まずのところを緩めるときには、足底のところだけを緩めることはできないので、足底側と甲の側を同時に触れて緩めます。

それで足関節が緩んでくると思います。

緩んでくる時の感じは、足関節がグラッと動くように緩んできます。

(そんなに上手くはいきませんが、頑張っていると、そのうちに足関節がぐらぐら動くように緩んでくることがあります。)

図3は、足を足底の方から見たところです。                    

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図3はだいたいこの辺りを、先生は先ずは緩めていることが多かったと記憶している箇所を示しました。

筋肉を緩めるときには、その場所だけを触るのではなく、緩めようとする箇所に対して、その裏になるところにも手を当てます。

この場合なら、土踏まずのところにある慢性筋肉疲労(筋肉の硬いところ)を見付けて緩めていきます。

その時に、施術者はもう片方の手をその裏側になる箇所に、割と広く手を当てます。

図3に、土踏まずのところに対して、裏(・・と表現して伝わるか?)に当たるのはこの辺りか、という範囲を矢印で示しました。

 

足底の筋肉を緩める

図3で、土踏まずに斜線をつけたところの奥に、疲労した筋肉があるので、そこを緩めます。

図3の奥にある筋肉で、骨の足底の側で、土踏まずのところにつく筋肉を見たいと思います。

でも、足底の筋肉をいうときに、土踏まずのところだけをいうわけにもいきません。

ここでは、下腿から足底につく筋肉のなかで、後脛骨筋、長腓骨筋、前脛骨筋を見ます。

図4(下の図)は、図3に斜線で示した土踏まずの奥のところにつく筋肉が、足底の骨につく場所を、骨に印をつけて見たところです。

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後脛骨筋、長腓骨筋、前脛骨筋は、下腿から足底につきます。

(図4で見ると、足の指につく筋肉でもあります。)

図4に示してある骨は、内側から舟状骨、内側楔状骨、中間楔状骨、外側楔状骨、第1中足骨、第2中足骨、第3中足骨、第4中足骨です。

  • 後脛骨筋は、舟状骨、内側楔状骨、中間楔状骨、外側楔状骨、第2中足骨、第3中足骨、第4中足骨と、多くの骨につきます。
  • 長腓骨筋が付く骨は、内側楔状骨、第1中足骨です。
  • 前脛骨筋が付く骨は、内側楔状骨、第1中足骨です。

これらの箇所を、手で、柔らかい触れ方で、その筋肉の付着部分の辺りの硬さを見付けて緩めていきます。

筋肉の緩めかたは、脊髄反射で緩んでいくように誘導する触り方をします。

特に触り始めが大切です。

施術者は自分の身体から余計な力を抜いて、いきなり緩めようとはしないで、先ずは患者さんの身体に手を置いておきます。

初めは特に、患者さんからすれば、何をされるか、どんな施術か?と不安になっている筈です。

だから、施術者は、始めの五分ほどは、何もせずに、力を抜いた手を当てるだけをすると良いかもしれません。

そして、患者さんが安心してきたら、筋肉を緩める作業を始めたらよいと思います。

 

10 凝りのために膝痛を訴える場合 -2-

足部の筋肉疲労が非常に強いと足首が捻じれることが多いようです。福増先生は、「足首がだいたい捻じれます」と、よく言われていました。「だいたい」とは、先生が目で見て、だいたいの人にそうなっているのを見たという意味です。

この「捻じれ」というのは、足部を見て、内くるぶし(脛骨の内果)が少し前に行き、外くるぶし(腓骨の外果)が少し後ろに行くようになっているのを見かけると思います。

すると、足首のところで脛骨と腓骨が捻じれているような形になります。

立ち姿勢で、足底が床に着地している足部の内側を横から見てみます。

足部を、内側横から見た内くるぶしの位置は、足が床面に着いているところから、内くるぶしまでの間の距離は短く、目で見て低い位置にある、というふうに見て取れると思います。

このようになっている足部は、足の甲のところが縮んでいると思います。先ず診るのは、足の甲にある筋肉で、短母趾伸筋、短趾伸筋が短縮して、足の甲が縮んでいる形になっていると思います。

足の甲の縮みと、足底のところが縮んでいて、そして母趾が硬直したみたいに硬くなっている、足部がこれらの様になっていると足首のところが捻じれていると思います。

福増先生によると、足部に筋肉の疲労がつのり「足首のところで脛骨と腓骨がずれて、ずれたまま固定したようになって、膝関節がずれるんです」といわれ、こうなっていることが原因のことが多いそうです。

(もちろん他にも原因があり、上からの影響のこともある様です。

それは、股関節のほうから膝関節をこえて付いている筋肉が引っ張って、膝関節がずれていることもあるというものです。

また膝関節のところ自身の筋肉疲労で歪んでいるものもあります。)

話だけ進みましたが、ここで取り上げるのは、足部に慢性筋肉疲労があり、足首のところで二本の骨(脛骨と腓骨)が捻じれて、膝関節に痛みが出るものについて考えています。

図2では、足の甲で、足の外側につく筋肉で、短母趾伸筋と短趾伸筋がどこからどこへ付くかをざっくりと示してあります。

短母趾伸筋:踵骨前部の背側面から、母趾の基節骨底に付きます。

短趾伸筋:踵骨前部の背面~外側面から、第2趾、第3趾、第4趾の中節骨と末節骨へ付きます。

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お年寄りに多いというのですが、先ず足の甲に縮みが起こって、足の指に縮みが起こって足底が地面に上手く着かないと、自分の体重を支えることがうまくいきません。

人は、日常の生活の中で身体を動かして無意識に重心を取っていますが、足底がうまく地面に着いてないと歩くたびに重心がぐらつきます。

そのぐらつきがあると、動作のいちいちで姿勢の平衡を維持するために、姿勢を立て直そうとして、身体の色々なところの筋肉が連動して、身体のあちこちの筋肉に力が入ってしまうのですから、筋肉は疲れます。

ここでは、足底が地面にうまく着くようになれば良い、と思っています。