32-8 О脚 腓腹筋やヒラメ筋、膝の裏あたりの施術の注意点など
О脚になっている脚は、膝関節が外側へ凸になることをどのように考えるのか、福増先生の考え方をなぞります。
前回のブログ、32-7の図32-7.1では、前脛骨筋と後脛骨筋を見ました。
図32-7.2では、腓腹筋とヒラメ筋の骨への付着部を見ました。
今回のブログでは、腓腹筋とヒラメ筋について、緩める方法、注意点などを書いてみたいと思います。
まずは、筋肉の骨への付着部分のあたりを触って緩めていけばよいと思います。
骨への付着部分のあたりとは、筋が骨に付着しているところと、筋の骨の付着部分や筋から腱に移行するあたり(筋腱移行部のあたり)のことです。
それらの部分からとりかかったほうがはやく緩んでくると思います。
腓腹筋とヒラメ筋の、膝に近いところの骨への付着部のところは、そんなに複雑な構造になっていませんから、やりやすいと思います。
ただし、正確に、筋肉が骨へ付着した部分を外さないで触る必要があります。
なかなか、その場所の限定は難しいですが、一つずつ覚えていくしかありません。
無理をしないで行います。
はじめは作業に慣れてないですから、同じようなところばかりを施術してしまうことになりがちです。
すると施術がうまくいきません。
患者さんが緊張してくるようでしたら、たとえば、足関節を屈伸する動きなど、リラックスしてくれるような動きをときどきまぜていくと、やりやすいです。
脚全体が凝っている患者さんの場合は、仰向けに寝てもらったままの姿勢で左右の脚の長さを見ると、施術したほうの脚が、腓腹筋とヒラメ筋を緩めて膝の裏が伸びることで、脚全体が緩む方向にすすむから、と思います。
また、足首の屈伸をうまくおこなっただけでも腓腹筋とヒラメ筋が割合に緩んで、膝の裏が伸びてきたりもします。
これはそんなに難しくないです。
初めから、ヒラメ筋や腓腹筋とか、言われても困るかもしれません。
はじめは、触ったら緩んでくるところ、緩みやすいところを見つけて緩めていけばよいかと思います。
そうやって、意識してなるべくいろんな所を緩めていくのがよいのかもしれません。
そうして、腓腹筋やヒラメ筋などの、筋の骨への付着部のあたりも触ってみることもまぜていって、筋が緩むかどうかの変化を筋肉に当てた手や指で、常に観察しながら行います。
施術について、注意した方がよいと思うことがあります。
膝裏などを押さえると痛みが起こることが多いはずです。
痛みが起こると、筋肉は縮みます。
また患者さんは、押さえられた痛みに対して力をいれて対抗してきます。
その力が入った筋肉をもっと強力な力で押さえると、ますます痛いです。
痛いうえに、筋肉は短縮します。
それを押さえても、筋肉は縮むことはあっても、緩んではこないです。
触手療法で筋肉を緩める作業は、患者さんは痛みをあまり感じないように施術するような方法をとることが多いです。
ぜったいに痛くないとはいいませんが、患者さんが痛がるときは、力の入れすぎがあったり、目的の場所を外していたりなど、考えられます。
32-7 О脚 下腿の筋の内側の短縮をみる
О脚になっている脚(下肢)は、膝関節が外側へ凸になることをどのように考えるのか、福増先生の考え方をなぞります。
前回のブログ32-6では、大腿部のうちがわにある筋で、骨盤の骨の脚にちかいところから出て、大腿骨を越えて、膝関節のすぐ下で、下腿の骨に着く筋を見ました。
今回のブログ32-7では、大腿骨の膝関節のすぐ上のところから出て下腿の骨や踵の骨に着く筋(32-7.1)と、下腿の骨や踵の骨を越えて足底の骨に着く筋(32-7.2)を見ます。
上の図32-7.1では、前脛骨筋を見ています。
前脛骨筋は、下腿の骨のまえ側から出て、脛骨のまえ側(むこうずね)を外側から内側へ斜めに横切って、骨の内側の足底に着きます(足底の骨どうしの間は関節になっていて、靱帯で連結しており、足底の骨は一つにまとまっているように見えますが、それぞれ少しずつ動きがある構造になっています)。
また、上の図32-7.1では、後脛骨筋も見ています。
下腿の骨のうしろ側から、足関節を越えて、うち側のくるぶしの後ろを通って、足底のいくつかの骨に着く筋(後脛骨筋)です。
下の図32-7.2では、下腿の骨から踵の骨へつく筋(ヒラメ筋)と、膝関節のすぐ上から踵の骨へつく筋(腓腹筋)の、筋肉が骨へつく場所を見ています。
この腓腹筋とヒラメ筋は、大腿骨と脛骨と腓骨から起こって、ふくらはぎの足首に近いところでまとまって、アキレス腱となって踵の骨に着きます。
ヒラメ筋は腓腹筋の下に隠れています。
この筋肉も力が入るかたちになって短縮します。
筋肉が疲労して、これに力が入るかたちで短縮した筋の形は、膨らんだ形になります。
力も入れてないときにふくらはぎの筋が硬く、力こぶを作ったようにパンパンに張っている形です。
患者さんの筋肉の状態を、このようになってないか、まず見ます。
32-6 О脚 大腿内側の筋の短縮をみる
О脚になっている脚(下肢)は、膝関節が外側へ凸になることをどのように考えるのか、福増先生の考え方をなぞります。
32-1~5では、О脚になっている脚は、全体的に内側の筋肉が縮んでいると考えています。
脚の内側にある筋は、大腿部、下腿部、足部と、説明のために部位を分けて見ていきます。
脚の内側が縮んで、足首が外反するかたちになります。
そして、膝の内がわが縮んで、膝の外がわは引き延ばされます。
下腿の骨は足首のところからそとがわに向かって行き、膝をはさんで、大腿の骨は骨盤の方へ戻っていくかたちになるわけです(図32-4などの図に示してある、О脚の足部、下腿部、大腿部の位置関係のことを指しています。
О脚の脚は、下腿部も大腿部もうちがわが縮んでいます。
この頁で見る大腿の筋肉は、骨盤の骨の脚にちかいところから出て、股関節や膝関節を越えて、下腿の骨に着く筋を見ています。
上図32-6「右脚を前から見る」では、薄筋、半腱様筋、縫工筋を示しました。
「右脚を後ろから見る」では、半膜様筋、半腱様筋、それに大腿二頭筋も示しました。
これらの大腿のうしろ側にある筋が短くなって、膝の内側が縮んで、膝の外側は引き延ばされる形になると思います。
これらのほかの筋肉も影響しあっているはずですが、説明のためにこれら三つの筋肉だけを例にとっています。
これらの筋肉を頭のなかで、О脚になるように短縮させてみてください。
筋肉が短縮したら、からだがどんなふうに曲がるかを考える訓練になると思います。
例として挙げた筋肉だけを緩めても、改善は難しいですが、施術の考え方は、短縮した筋肉を緩めて、元あった長さを出せればよいと思っています。
32-5 О脚 1~4を通して見る
歩くごとに体が左右に振られるぐらいきついО脚だった患者さんが、施術により、脚が随分とすっきり伸びて、О脚が改善されたときに取った考え方です。
О脚の患者さんの一例として、どこの筋肉が縮んでいる形になっているかをまず観察します。
足の裏が地面に着きにくい
前回は、大転子から腸骨稜のあいだに張る筋を見ました。
今回は、1~4を通して見ます。
1~4を通して見たその形をもとにО脚になっている人を、見ます。
О脚になっている人は、からだは全体に前かがみになっていることがわかると思います。
人間、後ろへ反り返っては歩けないですから、からだの全体の姿勢は前かがみの姿勢になって、縮んでいきます。
人間は地面の上に立って歩きますから、地面へ接地する足の裏は、地面に着いて歩くことは誰でも知っていることだと思います。
でも、その足の裏が地面にうまく接地しないで歩いている人は、案外多いと思います。
ふつうは足の甲に近いようなところを使って歩くことはなく、足の外側や踵に重心がのっているのをよく見かけます。
ただ、怪我など、なにかがあって足が変形してしまって仕方ない場合もあり、歩くことに大変な苦労をされる人を見かけることもあります。
足の裏が付きにくいということは、足の裏の広い面積で体重を支えて歩くことが、できにくくなるということです。
足の裏がうまく地面に着きにくい、ということは即、歩きにくいです。
そして、足がうまく地面に着いていないようだと、そのために起こるひずみ…というか、からだに起こる筋肉にかかる負担が、日々、積み重なって起こってきます。
足首の形は非常に重要ですから、全身を見るときに、まず、最初に見るようにしています。
32-4 О脚 大転子から腸骨稜のあいだに張る筋を見る
歩くごとに体が左右に振られるぐらいきついО脚だった患者さんが、施術により、脚が随分とすっきり伸びて、О脚が改善されたときに取った考え方です。
О脚の患者さんの一例として、どこの筋肉が縮んでいる形になっているかをまず観察します。
中殿筋や小殿筋、大殿筋も見る
前回は、脚の内側が縮んでいることを見ました。
今回は、大転子から腸骨稜のあいだに張る筋を見ます。
大転子から腸骨稜のあいだに張る筋は、というと、大雑把にとらえますが、中殿筋と小殿筋を見ます。
それと大殿筋も見ます。
これらの筋肉は、正確に大転子と腸骨稜のあいだに張っているわけではありませんが、これらの筋が慢性に疲労していると、たいへんに固くなって縮んでいます。
これらの筋が縮むと、大腿骨の大転子はわずかですが、後ろ上へ引っ張られることになります。
32-3 О脚 大腿部で最も大きな力がかかるのは内側部分の筋
歩くごとに体が左右に振られるぐらいきついО脚だった患者さんが、施術により、脚が随分とすっきり伸びて、О脚が改善されたときに取った考え方です。
О脚の患者さんの一例として、どこの筋肉が縮んでいる形になっているかをまず観察します。
大腿の内側にある筋肉を見る
前回は、足首が外反していることを見ました。
今回は、脚の内側が縮んでいることを見ます。
大腿の内側にある筋肉を見ます。
大腿部で最も大きな力がかかる場所は、大腿の内側の部分です。
次に大きな力がかかるのは、大腿の後側です。
そして、最も大きな力が集中するのは、恥骨のところです。
恥骨のところというのは、大腿骨の骨頭が嵌まる骨盤の前がわで、強靭な腹直筋がつくところです。
大腿部にある筋肉は、恥骨、坐骨や、股関節の関節包の部分などから膝関節を越えて下腿の骨につく筋が多いです。
ここでは、下肢の内側で、坐骨から脛骨の膝関節を越えたあたりまでを見ます。
大腿の内側から後側にある辺りの筋肉です。
足関節が外反した姿勢で歩くと、坐骨から脛骨内側につく筋肉に無理がかかります。
疲労が深くなってくると、この部分の筋肉が疲労して短縮してきます。
足関節が内反してくるのにも長い期間がかかって内反してくるのですが、同時に、坐骨から脛骨内側へつく筋肉も疲労していきます。
32-2 О脚 坐骨のあたりから膝関節を越えてつく筋肉を見る
歩くごとに体が左右に振られるぐらいきついО脚だった患者さんが、施術により、脚が随分とすっきり伸びて、О脚が改善されたときに取った考え方です。
О脚の患者さんの一例として、どこの筋肉が縮んでいる形になっているかをまず観察します。
足関節は外反していることを見る
О脚になっている人の足首あたりを見ると、足関節が外反している形になっていると思います。
足首のところが外反していることを見て、確認します。
32-1 О脚を改善することについての考え方
歩くごとに体が左右に振られるぐらいきついО脚だった患者さんが、施術により、脚が随分とすっきり伸びて、О脚が改善されたときに取った考え方です。
О脚の患者さんの一例として、どこの筋肉が縮んでいる形になっているかをまず観察します。
О脚は膝関節をはさんで脚の内側が縮んでいる
本来は伸びていたがО脚の形になるのは、膝関節の内側の部分が短縮していると考えます。
また、膝関節の外側の部分が伸ばされている形になっています。
見ていく箇所は、坐骨から膝関節を越えて脛骨につく筋を見ます。
ここでは、筋肉一つについてではなく、膝関節の内側が凹の形になるのは、どの筋が短縮しているのかを考えます。
いきなりО脚は…といっても、О脚って、どんな風になっているのかをО脚になっている人の特徴的な姿勢を観察して、その下肢の形全体を見て、その特徴がわかっていくと、理解しやすくなっていくと思います。
脚のことではありませんが、О脚になっている人は、腰や背中に特徴のある姿勢になっています。
全体に、多かれ少なかれ前かがみになっています。
はじめはまず、その形や特徴を観察します。
31 寝つけない、眠りに入りにくいとき
生活上の、ちょっとした変化などで、なかなか寝つきにくくなるということがあります。
毎日とれていた睡眠がとりにくくなると、今までの生活も変わってきて、不安にも陥りやすくなると思います。
福増先生から聞いた、眠りにつきにくいとき、ちょっとした工夫で眠りやすくなる方法があります。
それは、後頭骨の下縁から頸にかけてのところの筋肉が凝っているのをリラックスしていくようにする方法です。
難しくは、ありません。
寝つきにくくて困ったときに、座布団でも、敷布団の縁でもなんでもよいので、硬い目の厚みを作って、その厚みのところを、後頭骨から後頸部の上のほうにあてます。
(なにか使えるものがあればそれでよいので、上等のものは使わないでくださいね)
仰向けに寝て、それを後頭骨の下のところから後頸部の上のところにあてて、頭を左右に振るようにして、グリグリグリッとします。
すると、後頭部から後頸部にかけてのコリが緩んできます。
(頭は激しく振ったりしないでください)
自然にあくびが出てきて、眠りにつきやすくなります。
ものすごく緩んで、なにか変わってくるということではありません。
後頸部のコリが少し楽になって、眠りにつきやすくなるという話です。
この姿勢がつらい人は、決して無理しないでください。
30 孫悟空の輪っかと頭痛、でも、孫悟空の輪っか、て、どこ?
「西遊記」というお話にでてくる孫悟空というキャラクターがあります。
そのキャラクターの頭にはめられている輪っかは、悪いことをすると頭を締め付けて痛みを起こします。
福増先生が皆に「孫悟空の輪っか、描けるか?」と言われたことがありました。
「孫悟空の頭を締めつける輪っかの形のところにコリがあり、帯状に頭を締めつけるような頭痛が起こる」というのです。
頭痛が起こるのは「孫悟空の輪っか」のところだけではありませんが、その輪っかが、はめられているあたりの筋肉にコリがあって、頭痛が起こるということだと思います。
私なりに、このブログのページの中で、その孫悟空の輪っかの場所を突き止めようとしてみます。
1 孫悟空の輪っかの場所
2 緩めていく箇所
後頭骨の下のほうに着く筋肉について、三箇所を挙げます。
① 一箇所目の線[30-2図]
② 二箇所目の線[30-3図]
③ 三箇所目の線[30-4図]
④ 耳の後ろから耳の上にかけて[30-5図]
⑤ 前額部にあるコリ
3 付け加え
後耳介筋と鼻の横のところについて[30-6図]
その他
1 孫悟空の輪っかの場所
福増先生がコリの場所を確認した「孫悟空の輪っか」の位置の説明は、「耳の上側にあるスジはそのまま鉢巻きになるのではなくて、後ろのほうは下へ降りる。後頭部のほうへ下りて、また持ち上がって反対の耳の上のほうへくる」です。
これをもとにして見ていきたいと思います。
下図は、帯状のコリがあると思われるところです。
[30-1図]孫悟空の輪っかの場所のだいたいの場所
2 緩めていく箇所(順番は示していません)
コリのある「孫悟空の輪っか」の場所を触って緩めていけばよいと思います。
説明のしやすいところから、説明します。
後頭骨の下のほうにある帯状になっているコリを緩めていきます。
後頭骨の下のほうには、ほとんど同じような近い場所に、三箇所の、区別して捉えることができる筋肉があります。
この三箇所は、それぞれが別の部位につく筋肉の話です。
後頭骨の下のほうに着く筋肉について、私個人が部位を示しやすくするために、三箇所をそれぞれ一箇所目の線、二箇所目の線、三箇所目の線として挙げます。
①一箇所目の線は、後頭骨の下のほうで、小後頭直筋、大後頭直筋、上頭斜筋が着くところです。
[30-2図]
上の[30-2図]の小後頭直筋の停止部、大後頭直近の停止部、上頭斜筋の停止部を筋の位置を確認すると、後頭骨の下のほうの、ずいぶん下のほうです。
② 二箇所目の線は、僧帽筋と頭半棘筋がつくところです。
[30-3図]
③ 三箇所目の線は、項横筋と項耳筋がつくところです。
「30-4図]
④ 耳の後ろから耳の上にかけての、帯状になっているコリを緩めていきます。
[30-5図]
⑤ 前額部にある板のようにピッと張ったコリのところを緩めます。
[28 目の周りの筋肉疲労が原因で疲れ目、瞼が重い場合は前額にある筋肉疲労を緩める」を見てください。
3 付け加え
今回は、「孫悟空の輪っか」のところに筋肉が帯状に凝っていることを書きました。
緩めていくときは、この帯状のコリの部分を緩めればよいです。
ただ、その帯状のコリのところだけを緩めても、いま緩めたと思ったのに、またすぐにコリが戻っていることが、繰り返し起こると思います。
そういうときは、後頭骨や側頭骨のところに筋肉の骨化したコリがあると思いますから、そういったコリを見つけて緩めます。
すると、緩めたと思ったのに再びコリができてしまう繰り返しが減ると思います。
「29 前額の筋肉を緩めると頭頂筋や後頭の筋肉まで緩んでくる」を見てください。
・耳の後ろにそって緩めていきます。
「孫悟空の輪っか」から外れますが、耳の後ろにそって触っていき、その部分を緩めていきます。
このときに、後耳介筋も緩めます。
・後耳介筋について
後耳介筋は、耳の後ろのところにありますから、その部分に指を添えて二、三秒待つと緩んできます。
前耳介筋と上耳介筋も、耳に着くところに圧をかけると緩んでいきやすいです。
・後耳介筋と鼻の横のところについて
後耳介筋を緩めても、耳の前のところが緩んでこないときには、鼻の横のところを緩めると耳の前のところは緩んでくるそうです。
その部位は、頬骨と上顎骨の頬骨上顎縫合のあたりから、鼻翼の横のあたりにかけてだと思います。
こんな部位に影響があるのかは、福増先生は、なぜだかわからないと言われていました。
[30-6図]
・後耳介筋について
「後耳介筋」は、筋肉の解剖学の本によって、耳の後ろのところにある短い筋肉のように示してあったり、乳様突起よりもわずかに正中に近いあたりまであるように描かれていたりと、いろいろのようです。
・後耳介筋について
福増先生が、二十六年位前に後耳介筋について、ご自分の考えを言われたことがあります。
それは、後耳介筋を緩めていくときの筋肉の反応を見ると「筋肉としては見えないけれど、後耳介筋の筋線維は、ほとんど後ろのほうまで伸びているのではないかと考える」という意味のことを言われました。
後耳介筋を緩めるときには、外後頭隆起の近くまで伸びていると思っておくことにしていました。
・後耳介筋は、解剖学の本には耳の後ろのところにあるように書いてあるけれど、後耳介筋の筋線維は、ほとんど後ろのほうまであるようだ、と言われていたことについて
この部分にある筋肉のことが、「船戸和弥のホームページ」という解剖学のページのなかで示されています。
それは、「項横筋」と「項耳筋」という名前の筋肉です。
・「項横筋」と「項耳筋」について
福増先生が、後耳介筋はほとんど後ろのほうまであるようだ、と言われていた箇所に「項横筋」と「項耳筋」が示してあります。
「船戸和弥のホームページ」の中で、「項横筋は、僧帽筋と胸鎖乳突筋の腱の間に張る筋でまれに存在する。後耳介筋束と考えられる」とあります。
・「項横筋」と「項耳筋」について
「船戸和弥のホームページ」の解剖学のページを下にリンクしました。
「項横筋」と「後耳筋」が示してある頁も、その下にリンクしました。
後頭骨の下縁のところはわかりにくく、また、一箇所に絞ることはできなかったので、近いあたりの三箇所を書きました。
これらはみなが一緒になって、帯状のコリがあると捉えるのかもしれません。
分かりませんから、探ってみてください。
29 前額の筋肉を緩めると頭頂筋や後頭部の筋肉まで緩んでくる
「28 目の周りの筋肉疲労が原因で疲れ目、瞼が重い場合は前額にある筋肉を緩める」では、前額、眉間のところを見ました。
今回は、前額部と眉間の部分を緩めることで、目のほうが緩んでくるだけでなく、頭頂部、後頭部のほうまで緩んでくることを見ます。
今回は、頭頂部、後頭部を見ます。
頭の筋肉は、案外、凝っていることが多いです。
頭蓋骨の上にのっているコリは、骨と間違うほどに硬くなっていることも多いです
頭頂部のあたりを触ってみると、デコボコしていたりすることは、多く見られます。
後頭部などにはブツブツと、凝った筋肉が見られたりもします。
そういうコリを一つひとつ緩めていきます。
図29
施術者は、頭のデコボコした筋肉を触って、どこがコリでどこがコリでないのか、見分けていきます。
手で触っている硬さは、筋肉が硬くなったコリなのか、それとも骨の硬さを触っているのかを見分けていくのです。
コリなら、軟らかくなっていきます。
コリが骨と間違うほど硬くなっていることは、よく見られます。
いちばん簡単な見分け方は、骨の形を知って、見分ければよいと思います。
骨の形は、解剖学の本など見れば、知ることができます。
頭の筋肉が凝ったデコボコしたところの、グリッとした、浅く盛り上がったような部分を緩めます。
こういうコリが緩んでいくのに必要な圧を加えて、見つけては、緩めていきます。
28 目の周りの筋肉疲労が原因で疲れ目、瞼が重い場合は前額にある筋肉疲労を緩める
目の周りの筋肉疲労が原因で、目が疲れやすかったり、瞼が重いなどの場合の改善方法です。
コリのある前額のところを緩めていく技術です。
コリのある場所
眉の上のところに左から右までを通して、板のようにピッと張ったような状態になっているコリが見られる場合に、そのコリを見ます。
どこを施術するか
上の瞼を挙上する筋肉は、上眼瞼挙筋です。
ですが、ここで見るのは上眼瞼挙筋でなく、おもに前頭筋のところを見ます。
眉間、前額のところ、こめかみにかけてを見ていきます。
順番
①(できれば)こめかみのところを緩めておきます。
②額の端のところの、左右の側頭線のところ二か所と、眉間のところとの三か所を触って、眉の上のところにある板みたいにピッと張ったような状態になった筋肉のコリを緩めます。
※慣れないうちは、眉間のところだけ緩めるのもよいと思います。
よいのですが、そこだけ緩めても緩んだかどうかが、よくわからないです。
それでも、前額部分に触れるというのは、リラックスしやすいという効果は高いようです。
どのようにして緩めるか
③眉の上のところの、額にある板のように張ったコリを緩める作業です。
施術者は、額の端の左右の側頭線のところに、片手で触れます。
※側頭線とは、頭部の骨の前頭骨の額のがわと側頭面の境のところのことで、指で触ると、かどがあるみたいになっています。
そして、もう片方の手の指で、眉間のところに触れます。
④施術者は、片方の手で患者さんの左右の側頭線のところに指をあてて、側頭線のところを左右から、じわーっと寄せるような感じの力を加えていきます。
前額のところが、こめかみのところと同じくらいに軟らかくなるように、じわーと額の筋肉を正中に向かって寄せるようにするのです。
正中に向かって前額の筋肉を寄せるような作業を加えながら、眉間にもう片方の指をあてて緩むように刺激を加えます。
※指をあてて、緩んでいくのを指で観察します。緩んでいくのが観察できたら、その触り方でよいと思います。また、その結果、緩んでいたら、その触り方でよいのだとも思います。
せいぜい、二、三秒間そのままで保って、加えた力を抜いてから手を放します。
眉の上の板のようにピッと張ったような状態のコリが、緩んで軟らかくなっていたら、それで緩んでいます。
※こめかみのコリを取ることは難しいですが、眉間のところだけを軟らかく触ってみたり、前額の端と端のところ(左右の側頭線のところ)と、眉間のところの三か所を触っていると、きっとだんだんと上手くなってくると思いますから「楽さ」、は出てくるかと思います。
※コツがあるとすれば、寝姿勢で、顎を上げて行うと緩んでいきやすいです。
顎を上げることで身体に入っている力が抜けていきやすいからです。
それは、自分の身体に入っている気張りみたいな力が抜けていく傾向になっていくから、力が抜けていきやすいのです。
※ 施術を受ける人には、必ず寝姿勢になってもらって、行ってください。
仰向けか横向きに寝てもらうかのどちらかで行います。
椅子に座った姿勢だったり、からだを起こした姿勢で行っても筋肉は緩んでいかないです。
27 肩峰と鎖骨と肩甲棘のところにある凝りについて
肩のあたりに不調があるときには、肩峰のところにも強い凝りがあることが多いと思います。
下の図27は、肩甲骨の肩峰のところにある凝りについて示した図です。
図27 肩峰と鎖骨と肩甲棘のところの凝りについて
上図27-2で、肩峰から鎖骨にかけて、凝りがよく見られるところを塗りつぶして示しました。
肩甲骨と鎖骨の、塗りつぶしたところにある凝りを見付けたら触って緩めます。
肩が凝っている人の、鎖骨から肩峰、肩甲棘に囲まれたところは硬い凝りに埋まってしまって、筋肉なのか骨なのかの区別がつかないようになっていて、筋肉を骨だと間違うほどの硬さになっていることが多いです。
筋肉の骨化です。
これを緩めるには、図27-2と、図27-3で塗りつぶしたところを緩めると、緩んでくる場合が多いです。
コツみたいなことは、肩甲骨の形を解剖学の本などで知って、触っているのが筋肉の骨化したところなのか、それとも、骨なのかを見極めていくことが必要です。
筋肉が骨化したところは、弱いけれど安定した圧を加えてそのまま、二、三秒まっていると、だんだんと、筋肉の骨化は緩んできて本来の肩甲骨の形が分かるようになってきます。
肩甲骨の形が出てきたら、やっぱり筋肉の骨化だった、と思えばよいです。
骨化したところを緩めるときの圧の強弱の加減は、痛くないぐらいでしょうか。
痛いと強すぎます。
独特の気持ちのよさがありますので、目安になるかと思います。
26 肘筋について
肘のあたりを緩めるときに、福増先生は肘筋に注目していました。
その理由は、操法を行う中で肘筋を緩めると肘関節のところがすごく緩んでくることを見て取ったからです。
「肘筋を緩めると、その周囲の筋肉が緩んでくるのは、肘筋が肘関節周囲の筋肉のモニターの役割をしているではないかと思う」と言われていました。
肘筋について
図26-1肘筋の形と位置を示す
肘筋は上腕骨の外側上顆の後面と、肘関節の外側側副靱帯からも起こって尺骨の肘頭の背面に着く三角の形をした筋肉です。
上図26-2 は肘を後ろから見て、上腕三頭筋と肘筋が上腕骨と尺骨に付着する場所を示してあります。
肘筋は、上腕三頭筋の内側頭の一部が独立した筋で、肘筋と上腕三頭筋は支配神経が同じで橈骨神経支配です。
また、上腕三頭筋は、尺骨の肘頭とその両側の前腕の深い筋膜にも停止するので、肘関節のところを緩めるには、肘頭と肘頭の周りぐるりと、肘筋の起始と停止のところを緩めると緩んできます。
図26-3 肘関節を後ろから見る
緩んでくるときは、肘は関節のところがグラッとしてきて、明らかに緩むので分かります。
25 前腕の緊張をさげていきながら指にきている筋肉を緩めていく
触手療法はいろいろなことをやって硬直した筋肉を緩めますが、慢性の硬直した筋肉疲労を見付けやすくするために、先に軽い筋肉疲労をとることをします。
施術する前に患者さんがリラックスしてくれたらいいのですから、患者さんの身体を揺さぶってみたりします。
そうすることで軽い筋肉疲労はとれてきますから、続けて施術に移りやすくなります。
はじめは、単に揺さぶってみてリラックスをしてくれたら施術に移ればいいし、慣れてきたら施術の動きにリラックスしてもらいやすい動きを加えたらいいと思います。
手部を見てみます。
まずは患者さんには仰臥位になってもらい、施術者は患者さんの手首を動かします。
仰臥位で患者さんの手を持つと、前腕から手部は下[図25-3]のような形になると思います。
このような角度にして手関節を軽い力で動かすことで、軽く揺さぶる動きが加わります。
患者さんの身体に揺さぶられるような動きが加わることで、上肢に無意識にはいっている力が抜けていきやすいのです。
では、どのようにするかです。
手関節は手の背側を下[図25-3]のようにします。
このときに手根部が伸ばされることになります。
この角度[図25-3]のようにすることで、母指の付け根のあたりや手根部のあたりが伸ばされることになります。伸ばされることでこの部分に圧がかかります。
そして、その伸ばされた手根部あたりの母指側に圧を加えると、その部分の筋肉が緩みやすいです。
(「19親指の付け根を緩める」の続きで緩めていきます。この部分も「親指の付け根」だとも思っています)
触手療法は押すことで筋肉を緩めるのではなくて、疲労した筋肉に圧をかけることで筋紡錘や腱紡錘に圧がかかり、緊張の高い筋肉が脊髄反射によって緩もうとするのを誘導します。
この部分に圧がかかることで「21親指の付け根のところを緩める -3『図21第1指の筋肉の縮み』」で示した①,②の部分が緩みやすくなります。
次に手関節の背屈をします。
そして背屈したら、背屈のために加えた力を抜く、というくらいの動作を何度か繰り返します。そうすることで、伸筋側の筋肉群と屈筋側の筋肉群のどちらも少しずつ緩んできます。
下[図25-3,4,5]の説明です。
手部を背屈して[下図25-3]、次に背屈した手部にかけている力を抜きます。
すると手部は[下図25-4]のような形にもどります。
このくらいの範囲の動きをします。
手関節を動かそうとするとき、患者さんの手関節の可動域は施術者が思っているより小さいと思っておきます。
可動域の大きさが掴めたら、背屈が楽にできる可動域の範囲をほんのわずかに超えるか、というくらいの負荷をかけて、背屈し、背屈に加えた力を抜く…の動きを何度か繰り返します。
このときに手部を広げるような動きも加えると、なお緩みやすい傾向になります。
硬さのある動かし方ではなく患者さんがリラックスしてくるように、手部を動かしながら、楽な感じでわりとリズミカルに動かします。
そうしていると、手部が軟らかくなってきて、背屈できる可動域がほんの少しずつ大きくなっていきます。
簡単そうな作業ですが、勢いをつけて動かしたりしないで、決して無理な大きい負荷はかけないで行います。
これらの作業が進んで硬さがとれてきた筋肉を触ってみると、軟らかくなった筋肉の中に硬直した冷たい筋肉が施術者の手に触れると思います。
本当に筋肉の状態を改善するにはこの硬直した筋肉を緩めることが必要ですが、硬直した筋肉を見つけやすくするために、まずは軽い筋肉疲労をとることから始めるとやりやすいのです。